ロマンスカーVSEのサルーン席特急券

2022年3月で定期運用を終了した小田急ロマンスカー50000形(VSE)には半個室である「サルーン」が設定されていました。定期運用終了以降、VSEは一般発売される列車としての運用はおこなされていませんが、現在でも旅客営業規則にはサルーン券に関する規則が存在されています。

VSEのサルーン

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相模大野51発行、箱根湯本から新宿まで「はこね21号」のサルーン券です。

サルーンは「座席定員上特別な定めをした座席」(旅客営業規則3条5項)と定められており、乗車の際にはサルーン券が必要です(旅客営業規則13条2項2号)。

(用語の意義)
第3条 この規則におけるおもな用語の意味は、次の通りとする。
(5) 「サルーン」とは、座席定員上特別な定めをした座席をいい、第12条の規定による表示をしたものをいう。

(サルーン料金を収受する列車の施設の表示)
第12条 サルーン料金を収受する施設については、その列車の旅客の見やすい箇所に相当の表示を行う。

(乗車券類の購入及び所持)
第13条 列車等に乗車する旅客は、その乗車する列車に有効な乗車券類を購入し、これを所持しなければならない。
2 前項の規定によるほか、旅客は、特別急行列車に乗車する場合及び特別急行列車のサルーンに乗車する場合は、次の各号に定めるところによりその乗車に有効な乗車券類を購入しこれを所持しなければならない。
(1) 特別急行列車に乗車するとき
    座席指定を受けた特別急行券
(2) 特別急行列車のサルーンに乗車するとき
    座席指定を受けたサルーン券
    ※サルーンに乗車する場合は、(1)の特別急行券は必要としない。

小田急電鉄株式会社旅客営業規則

このように、小田急においては「特別急行券」と「サルーン券」は並列的な関係であり、特急の普通の座席を利用する際には「特急券」、サルーンを利用する場合には「サルーン券」がそれぞれ必要となります。逆に言えば、サルーンを利用する際に必要なのは運賃・サルーン料金のみであり、特急料金は不要であるという考え方です。

また、サルーン券は1枚で複数人の利用が可能であり、定員は大人、小児あわせて4名です(旅客営業規則58条3項)。したがって、サルーン料金は大人特別急行料金4名分に相当する額が定められています(旅客営業規則第129条の2)。なお、最低利用人数などは定められておらず1名でも4名でも利用できますが、1名利用の場合でも料金は同額です。

(サルーン券の発売)
第58条
3 サルーン券の定員は大人、小児あわせて4名とする。

(サルーン料金)
第129条の2 第58条の規定によって発売するサルーン料金は、次のとおりとする。
サルーン料金
(1) 35キロメートルまで 2,000円
(2) 36キロメートル以上50キロメートルまで 2,600円
(3) 51キロメートル以上75キロメートルまで 3,000円
(4) 76キロメートル以上 4,000円
チケットレスサルーン料金
(1) 35キロメートルまで 1,800円
(2) 36キロメートル以上50キロメートルまで 2,400円
(3) 51キロメートル以上75キロメートルまで 2,800円
(4) 76キロメートル以上 3,800円

(注)サルーンに乗車する際の旅客運賃については、第73条の規定を適用し、利用人員に対する旅客運賃を収受する。

2 第58条の2により、車内サルーン券を発売する場合は、前項で定める料金に1,400円を加算した額とする。(以下「車内サルーン料金」という。)

小田急電鉄株式会社旅客営業規則