西九州新幹線の幹在同一区間と選択乗車

西九州新幹線の幹在同一区間と選択乗車

先日、初めて西九州新幹線に乗車してきたのですが、同線区の新幹線と在来線の関係は中々に複雑です。

ということで、備忘録としてここに纏めておきたいと思います。

路線環境

西九州新幹線は武雄温泉〜長崎間を結び、途中に嬉野温泉・新大村・諫早の3駅が設けられています。このうち、新大村と諫早では在来線に接続しています。

新幹線開業以前の特急「かもめ」は、肥前山口(現・江北)から海沿いの長崎本線を通り長崎まで運行されていました。したがって、長崎本線の一部区間が並行在来線ということにはなりますが、上下分離方式を採用することにより現在でもJR九州が運行を担っています。

一方、新幹線と在来線が地形的に近接しているのは、新大村〜長崎間(大村線・長崎本線)です。

幹在同一区間

地形的には新幹線と在来線が並行するのは新大村〜長崎間ですが、幹在同一区間となるのは諫早〜長崎間〈長崎本線(現川経由)と西九州新幹線〉です。

ポイントは、大村線はたまたま並行してるだけの全く関係ない路線であるということ、長崎本線の旧線にあたる長与支線も原則的には別の路線ということになります。

分岐駅通過特例

新幹線は浦上駅を通過することから、浦上〜長崎間には分岐駅通過特例が設けられています。長崎駅で途中下車をせずに西浦上以遠(長与方面)と現川以遠(市布方面)との相互間を乗車する場合には、浦上〜長崎間を復乗可能です。

(分岐駅通過列車に対する区間外乗車の特例)

第160条の4 次に掲げる区間の左方の駅を通過する列車に乗車するため、同駅から分岐する線区にまたがる乗車券を所持する(次に掲げる区間の左方の駅を通過する列車からの乗継を含む。)旅客(定期乗車券を所持する旅客を除く。)が、同区間を乗車する場合は、当該区間のうち左方の駅以外の駅において途中で出場しない限り、乗車券面の区間外であっても乗車することができる。
   (中略)
 浦上・長崎 間
   (後略)

選択乗車

話をややこしくする原因として、喜々津〜浦上間に3つの選択乗車区間が設定されている点が挙げられます。

57条1項55号

喜々津以遠(西諫早方面)の各駅と、浦上又は長崎駅との相互間(現川経由、本川内経由)

実例としては、諫早〜長崎(西九州新幹線経由)の乗車券で長与経由も乗車可能というのが一般的でしょうか。

57条1項56号

喜々津以遠(西諫早方面)の各駅と、長与・西浦上間各駅との相互間(現川経由、本川内経由)。この場合、乗車券の券面に表示された経路以外の長与・西浦上間内では、途中下車の取扱いをしない。

実例としては、諫早〜長与(長与支線経由)の乗車券で現川・浦上経由で乗車などが挙げられるでしょう。分岐駅通過特例と組み合わせれば、諫早(西九州新幹線)長崎(長崎線)長与という乗車も可能です。

なお、本事例を幾つかのインターネット予約・経路検索アプリで検索してみましたが、選択乗車を考慮して最短経路(長与支線経由)の運賃を表示する例と実乗経路(浦上経由)の運賃を表示する例に分かれています。

57条1項57号

東園・本川内間各駅と、浦上又は長崎駅との相互間(長与経由、現川経由)

実例としては、長崎~本川内間(長与経由)の乗車券で現川・喜々津経由で乗車するなどが挙げられるでしょう。